00 いつか、楽園で

 

――夢を見ていた。
昔から何度も見る、いつもの夢だ。

その子はいつもそこに居て、寂しそうに外を眺めている。
だから、放っておけなかった。

「――――、」

声をかければ嬉しそうに顔を綻ばせる彼女を見て、こちらも思わず笑みをこぼしてしまう。

あたたかな空気、やわらかな日差し。頬をやさしく撫でる風。
そこはまさに“楽園”と呼ぶにふさわしい。

ただただ繰り返される、きっと、無意味な夢。
その夢はいつも、彼女のこの言葉で終わる。

 

「迎えにきてね、――」

 

 

「――――まってるから」